東京医大の不正入試、報告書の内容をサクッと




東京医大の不正入試について、調査報告書が発表されました。
そちらの内容を簡単にご紹介します。

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佐野氏子息の得点調整について

平成29年度の受験

佐野氏子息は平成29年度も同大を受験していた。
しかし、一次試験の得点は200点で順位は1051番であった。
一次試験に合格させるためには大幅な加点が必要であったことから、得点調整により佐野氏子息を合格させることは難しいと考え、 佐野氏子息については得点調整しないことにした。
その結果、佐野氏子息は平成29年度は一次試験で不合格となった。

平成30年度の受験

佐野氏子息の一次試験の結果が226点で282位であった。
10点加算すれば二次試験に大きな問題がなければ補欠では繰り上げ合格できると考え、10点加算することにした
その結果、一次試験の226点では282位であった佐野氏子息は236点に不正加算され、順位も169位と修正され、一次試験の合格者となった。
なお、一次試験の合格者は最終的に451位までとされたことから、結果的には10点の加算がなくとも佐野氏子息は一次試験に合格していた可能性がある

二次試験についても必要に応じて得点調整を行うべく協議を行った。
募集人員は75名であったところ、佐野氏子息は二次試験の結果、301点で87位だった。
少なくとも繰上げ合格する可能性が高かったことから、佐野氏子息について二次試験における個別の得点調整はされなかった

佐野氏子息は、適性検査や面接による不合格者やセンター試験利用者が抜けたため、最終的には74位となり、正規合格(75名中74位)となった。

なお、平成30年度一般入試において、佐野氏子息以外にも5名への10点~49点の加点が確認された。

佐野氏子息への今後の対応について

学生募集要項に定める、「本人が不正行為を行った場合、受験した試験の成績がすべて無効になる」ため、入学許可の取消しあるいは退学など学生の地位を失わせる処分が可能であると解される。
(得点調整がなくとも合格できるだけの得点を得ていた場合でも、この結論は変わらない。)

本件で賄賂となり得るのが佐野氏子息の合格者の地位であると理解すると、刑事手続において賄賂は没収の対象となりうることを考えれば、佐野氏子息に対して、自主退学を勧めるという選択肢もあり得る。

しかし、佐野氏子息が得点調整を認識し、かつ是認していた等の事実を認定することはできない

したがって、受験生である佐野氏子息本人が不正行為を行ったとは評価できないため、 慎重な検討が必要となる。
また、佐野氏子息は得点調整がなくとも合格していた可能性があることからすると、佐野氏子息が得点調整を認識していたなどの事情が新たに認められない限り、佐野氏子息に対し学生の地位を失わせる処分を行うことは法的に難しいかと思われる。

 

入試における悪しき慣行

個別の得点調整

得点調整は主に一次試験で行われていた。

二次試験は小論文や面接のため、あまり点数に差がなく、しかも複数人で採点し点数が採点者間で大きく異なる場合には、他の採点者が読み直すこととなっている。
入試委員会では不正に異論を唱える者もおり、点数操作を堂々とは行えない状況だった。

二次試験での得点調整では、思うように合格の依頼を受けた受験生を合格させられないという事態が生じ、得点調整は主に一次試験で行われるようになった。

手法としては、入試委員会に一次試験の採点結果を提出する前の時点で、 一次試験の素点に不正加算した成績表を作成し、これを入試委員会に提出するという手法が採用されるようになった。
平成29年度一般入試においては、13名への一次試験の素点への45点~8点の加算が確認された。

前理事長と前学長は合格を依頼された受験生が実際に合格した場合、大学に寄付金を納入してもらうほか、個人的に謝礼を受け取ることもあったようである。

性別等属性等による得点調整

少なくとも平成18年度入試以降は、属性(現役か浪人か、男子か女子か)による得点調整が行われていたようである。

さらに、始期は不明ながら、推薦入試についても、例年、入試委員会による検討を経ずに個別の得点調整が行われており、平成30年度入試においても、個別の得点調整が行われたようである。

また、推薦入試のうち茨城県と山梨県の地域枠特別推薦については、本来あるべき合格点数を得た受験生のみでは定員に達しず、定員割れを防ぐため、(不足点数を補う)得点調整を行っていたようである。
なお、センター試験を利用した入試について、過去に得点調整が行われた形跡は認められなかった。

その手法は、まず、二次試験の小論文の点数(満点100点)に、全員0.8の係数をかけ(満点は 80点になる。)そこに受験生の属性に従い次の加点を行うというものであった。

これにより、4 浪男子と女子(現役・浪人問わず)は 100点満点を取っても80点の得点しか得られなかったこととなる。

かける係数や加算する点数については、年度ごとに見直されてきたようである。

平成30年度一般入試においては、小論文の配点が増えた結果、男子に加算される点数が平成29年度と比べ大きくなった。

なお、かかる得点調整について、入試委員会は知らないと述べる者もいたが、平成29年度以前の一般入試については、入試委員会において現役及び男子に加点することが議論されたとも思われる資料が存在している。

それらの資料が存在する年度の入試に関しては、入試委員会において、現役及び男子に加点することについて議論がされていた可能性なしとしない。

ただし、平成30年度入試の入試委員会においては、現役及び男子へ の加点についての議論はなされなかったようである。

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詳細については、東京医科大学内部調査委員会発表の報告書よりご覧いただけます。

私は問題の部分だけ掻い摘んでますが、報告書のほうには関係者の処分や今後の取り組みなど詳しく書いてありますよ。

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