医師臨床研修制度、産婦人科を必修へ




読売新聞の 1月10日配信の記事です。

新人の臨床研修、産婦人科を必修…20年度から

1/10(水) 6:18配信

勤務環境の厳しさなどから産婦人科医が不足するなか、厚生労働省は2020年度から、新人医師の臨床研修で産婦人科を必修にすることを決めた。

10年度に必修科目から外れたが、研修医全員に産婦人科の現場を経験してもらい、志望者を増やすきっかけにしたいと、関係学会が再び必修化するよう求めていた。

国家試験合格後に受ける臨床研修は、医師法で2年以上と定められている。現在、内科、救急、地域医療が必修で、産婦人科は選択可能な科目の一つ。20年度からの必修は、従来の3科目に、産婦人科、外科、小児科、精神科が加わり計7科目になる。

日本産婦人科医会の調査によると、昨年の産婦人科医の人数は1万1573人。10年以降、微増傾向が続くものの、不足は解消していない。同医会の昨年の推計では、リスクが高い出産に対応する総合周産期母子医療センターの約6割が、労働基準法を守る上で必要な人数を確保できていなかった。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180110-00050010-yom-soci

医師臨床研修制度は2004年からスタートしました。
臨床研修制度の改正は過去にも実施されています。(2010年~、2015年~)
概ね5年ごとに改正は実施されています。
今回の改正は3回目となります。
改正というよりは現状を把握した上での修正と表現する方が厚労省の意図には近いやもしれません。

過去の主な改正ポイント

2010年スタート

○研修プログラムの弾力化
(7科目必修→3科目/内科、外科、地域医療 へ)

○研修医の募集定員適正化
(都道府県ごとに募集定員の上限を設定)

○臨床研修病院の指定基準の強化
(新基準では入院患者数が年間3,000人以上など)

参照
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/08/04.html

2015年スタート

○研修の質向上
(基幹型病院、臨床研修病院群の在り方の明確化、妊娠・研究などの多用なキャリアパスに応じた研修中断及び再開の円滑化)

○地域医療の安定的確保
(研修希望者に対する募集定員の割合を縮小。都道府県が都道府県上限の範囲内で各病院の定員を調整できる枠を追加)

参照
https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2013/131224_1.pdf

次回の改正ポイント(方向性)

現在、産婦人科必修以外に予定されている2020年の改正の方向性です。
(あくまでも“予定”としてご覧ください)

臨床研修部会では3つのポイントを提示しています。

○都道府県が管内の臨床研修病院の指定・定員設定に主体的に関わり格差是正を進める必要
○臨床研修病院の募集定員をさらに圧縮していく必要
○臨床研修終了後における、出身地や出身大学の都道府県への定着を図る必要

ご興味をお持ちの方は、下記より臨床研修部会の詳しい資料がご覧になれます。
けっこう読みやすい資料ですよ。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000178910.pdf

また、m3の会員の方は下記より集約された記事もご覧になれます。
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/559869/

参考までに、医道審議会医師分科会医師臨床研修部会は、東京大学名誉教授の桐野髙明先生が部会長を務め、メンバーは

相原 道子先生(横浜市立大学附属 病院長)、 新井 一先生(順天堂大学 学長)、 岡村 吉隆先生(和歌山県立医科大学 理事長・ 学長)、 金丸  吉昌先生(美郷町地域包括医療局 総院長)、 神野 正博先生(社会医療法人財団董仙会 理事長)、河野 陽一先生(独立行政法人労働者健康福祉機構千葉労災病院 病院長)、清水 貴子先生(社会福祉法人聖隷福祉事業団総合病院聖隷浜松病院 顧問) 中島 豊爾 先生(岡山県精神科医療センター 理事長)、羽鳥  裕先生(公益社団法人 日本医師会常任 理事)

です。

参照
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000178916.pdf

勝手に雑感

私はミーハーで、先生方のブログをよく拝見しているのですが、その中の先生のブログには全く予定していなかった産婦人科へ初期研修のローテ中の出来事がきっかけに進まれたと書いてありました。
逆にお仕事で携わった先生の中には、初期研修のローテがきっかけで当初希望していた科目へ進まなかったというお話も聞いたことがあります。

医師紹介業を何年もやっていると、「○○科っぽい先生だな~」とか「△△大学っぽい先生だな~」って感じることが増えてきます。
私がもつ産婦人科の先生のイメージは、「一見ソフトだけど実はかなりシャープ」というイメージです。(ちょっと抽象的すぎますが)
また、産科業務も行なっている場合は、職業ではなく生業で行なってらっしゃるとも感じます。

物事は一長一短。完璧なものなどありませんが、少しでも長所の方が多い改正になればと思います。

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