今日、ちょっと別件でエムスリーに掲載中の首都圏の整形外科 非常勤求人を見ていましたら、
「あれ?給与相場落ちてきてる??」と感じました。
これは、2~3年くらい前から感じていたことですが改めて実感しました。
そもそも整形外科求人は・・・
整形外科の非常勤求人は給与相場が高く案件数も豊富という特徴があります。
相場が落ちてきているといっても現在でも10万円以上の求人がメインなので、内科や他科と比較すれば高めです。
ただ、以前は都心から1時間未満の通勤時間でも日給12万円クラスの求人はもうちょっとありましたし、今より日給8万円、9万円クラスの求人の存在感はグッと低かったです。整形外科の求人数自体も少なくなっているような気が・・・
その他にも気になる点があります。それは以前より勤務時間が長い点です。
以前は9時-17時でも日給12万以上の求人はありましたが、現在は高額給与の多くが勤務時間も長いように見受けられます。
しかも、この時期は非常勤求人が特に活発な時期です。余計に数年前との違いを感じます。
少し時期をずらせば、急募で好条件が出てくるかもしれませんが、現在の勤務先が比較的良い条件の先生は、無理に動かない方がいいと私は思います。
なぜ給与相場が落ちて来ているのか
同じような給与相場の下落が以前は透析でありました。
透析は7~8年位前までは9時-17時の勤務で日給10万円クラスの案件もざらにありましたが、今は8万円(時給1万円)位が相場ではないでしょうか。
しかも、募集要件に透析専門医や腎臓内科専門医という条件が付く案件も増えています。
透析の相場が落ちた事に関しては、診療報酬の影響が大きいと思います。
ちなみに、今回の診療報酬改定でも透析は引き下げ対象です。
整形外科に置き換えて考えた場合、透析のように大打撃を受ける改定はここ数年は無かったと思います。(前回の改定で一番話題になった整形外来系の改定は湿布の枚数制限でした)
相場が下がる原因は皆さまもご存知のように需要と供給に寄るところが大きいです。
需要の面で考えると、超高齢社会の日本においては整形外科は高齢患者の割合が高く需要が高い科目といえます。介護サービスとの相性もいいです。
平成28年度までのデータになりますが、他科と比較し全体の医療費構成割合も高いですし、医療費の伸びも悪くありません。
参考
-平成28年度 医療費の動向- 厚生労働省保険局調査課
供給の面で考えると、整形外科の施設数は増加傾向です。
参考
日医総研ワーキングペーパー 診療所の医業収入としての 医療費の動向 -「概算医療費」2016 年度実績と長期推移-
また、整形外科の医師数も厚労省の「主たる診療科名別にみた医師数」では増加傾向です。
10年前のデータと直近2回の比較の数値を簡単に表にしてみました。
参考
診療科名(主たる)別にみた医師数 2006年 2014年 2016年
整形外科の需要は高いものの、供給という点では施設数の増加でパイの取り合いになっている懸念、医師数の増加で非常勤需要が減っている可能性があるかと思います。
また、こちらは私の勤務時代の話ですが、医療機関からのお声で非常勤は極力減らして常勤を採用したいという意欲が数年前より高まってきていると感じます。
さらに、医療経営マガジン(2017年11月28日)に「内科、外科、整形外科を標榜している有床診療所の約4 ~5 割が介護サービスを実施しており、実施していない診療所でも、うち約 1 割が今後の 参入を検討している。 また、厚労省の調査によれば、介護収入がある有床診療所のほうが経常利益率が高く、 地域包括ケアシステムを構築していくうえで も効果的な施策だといえる」という記述がありました。
外来・入院だけではなく介護サービスまで展開する、多様化する医療機関の収益構造の変化も少なからず影響しているのではと個人的には考えます。
それでも高額給与を希望する場合は
立地もよく楽な勤務で高額給与という案件はなかなかありません。
そんな募集があれば何らかの落とし穴があるかもしれません。
詳しくは過去の記事「高額給与の落とし穴」へ
どうしても給与優先で勤務先を探されたい場合は、まずは通勤時間をご検討ください。
関東圏では、埼玉や千葉の僻地、北関東まで含めれば、都心よりは良い条件があるかもしれません。
新幹線や特急が利用可能であれば、意外と上記のエリアも通勤範囲に入ってきます。
あとは優秀なコンサルタントへ依頼することです。
良い条件の求人を探し出す嗅覚や、少しでも給与をアップさせる交渉術はコンサルタントの力量に掛かっています。
こちらにつていは、過去の記事「(本音)給与UPを狙うなら」「エムスリーで医師紹介会社を選ぶポイント」をご覧ください。
ちなみに、下記のようなコンサルタントはおすすめできません。
下記はエムスリー内で求人を掲載していたM社の求人内容です。
求める資格の欄、至極当たり前のことが記載されています。
専門医や認定医なら分かりますが、医師免許ないと診療自体できませんし、保険医ないと保険診療は実施できません。
丁寧に記載しているつもりかもしれませんが、こんな根本的な事(不必要な事)を書いて何のメリットがあるのか全く理解できません。(百歩譲ってこの内容を記載するとしても自費診療の時くらいですね)
ちなみに、これは医師紹介業へ新規参入の会社がやりがちな事の1つです。
掲載している求人へ問い合わせをする分には問題ないかもしれませんが、新たな求人提案や交渉力を求める先生にはおすすめできません。ご注意ください。
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