以前の記事で医療機関から多い医師へのクレームをご紹介しました。
今回は、医師側からみた医療機関の問題です。
コンサルタントはお仕事を紹介する仕事です。担当する医師の数だけ退職理由も知っています。
「キャリアアップのため」や「待遇をあげるため」などは除外して、ネガティブな理由で特に多い退職理由をご紹介したいと思います。
理由1.超利益主義
ありがちなのは、不要な検査の連発や、陣容を無視した外来・入院受け入れです。
民間の医療機関であれば、利益を求めるのは当然です。ですが限度はあります。医師はロボットではありません。
また、そもそも今の医療政策にマッチしていない病院運営をしている可能性もあるかもしれません。
現場に無理をさせるだけではなく、経営の見直しも必要だと思います。
理由2.診療に対し裁量ゼロ
医師は今までの経験をもとに、患者さんに適切な医療を提供しようと考えます。
それは当然のことだと私は思います。
診療を任せてもらえないということは、自身への信用がないと医師に取られかねません。
例えば、再診の患者さんの治療方針の変更は一切NGだという医療機関がありました。
また、「これがうちのやり方だから」と現場の医師の提案を全く検討しないというケースもありました。
当たり前ですが、医師からみれば不満が溜まる一方です。
理由3.マンパワー不足
医師1人では病院は成り立ちません。外来で看護師のフォローは必要ですし、病棟もある程度の規模があれば、全床を1人で対応するのは困難です。1人だけに負担を強いる職場は医師も疲弊していきます。
採用活動をしていて雇えない状況ならまだしも、雇う気がないケースもあるようです。(医療機関からすれば採用する気はあるかもしれませんが、医師からみれば その気が全く見えないと感じるケースもあると思います)
また、医師によって業務量が違う場合も医師からすれば不満な状況です。
先が見えずに辞めてしまいます。
理由4.暴君の存在
院長や医局長など、権力をお持ちの方が暴君の場合、最悪のケースではどんどん人が辞めていきます。
暴君も必死なのかもしれませんが、医師の気持ちを踏みにじるような行動、患者さん軽視の診療方針の転換、現場のことを考えない人事権の発動は、院内を混乱させるだけです。
ある診療科に特化した民間病院で、医局長のせいで医師が4名辞めたということもありました。
医師がどんどん辞めていくと、人手不足で暴君を辞めさせられないという負のループが発生します。
対応はどうぞお早めに。
理由5.「事件は現場で起こってるんだ」が分からない経営者
経営者が現場への理解が全く無い、会議や机上の話しかできない、何もわかっていないのに口だけは出す、物品は全く購入してくれない、こんな状況だと医師は辞めていきます。
経営者が医師でない場合や、あまり病院に顔を出せない場合もあると思います。
そういったときには、下手に口を出そうとせず、事務長や診療部長など現場に精通した方を上手く活用されたほうが良いかと思います。
さいごに
せっかく、医師が入職しても退職率が悪ければどうにもなりません。
ずっと苦しい状況が続くだけですし、紹介手数料を払い続けることにもなります。
入職だけが医師を増やす方法ではありません。医師の退職率を低下させることだって、医師数を増やすことに大きく貢献します。内部の見直しも是非お願いします。
にほんブログ村 ランキングに参加中です。その1クリックがご本人が想像する以上に、とっっっても有難いです。