すでにご存知の方も多いかもしれませんが、2018年5月17日の東京新聞の記事です。
【ニューヨーク=赤川肇】米体操協会の元チーム医師ラリー・ナサル受刑者(54)による女子選手らへの性的虐待事件で、受刑者が勤めていたミシガン州立大学は十六日、総額五億ドル(五百五十一億円)の和解金を支払うことで三百三十二人の被害者らと大筋合意したと発表した。
大学の年間一般予算の四割近くに相当する巨額で、どう工面するかは不明。米CNNテレビは関係者の話として、大学が自己資金から支払った上で、保険請求する見通しを伝えた。
発表によると、和解金の内訳は「大学が被害申告を無視してきた」と訴えていた被害者らに計四億二千五百万ドル、新たな被害申告に備えた信託基金に七千五百万ドル。十五日の大学評議員会で承認された。
一連の事件は二十年以上に及び、被害者の一人が二〇一六年九月に米メディアで証言したのをきっかけに発覚。ナサル受刑者は一月、ミシガン州地裁で「事実上の終身刑」として最長禁錮百七十五年を言い渡された。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201805/CK2018051702000257.htmlより
和解金額はまさにアメリカンな数字ですね。
そして、チームドクターに選ばれるような医師がセクハラをしていたことも衝撃です。
私が担当した中でセクハラによる解雇やトラブルなどの事例はありませんでしたが、健診などで患者と2人きりの状況を作らないなど、誤解を招かないよう気をつけていた先生はいらっしゃいました。
記事のラリー・ナサル受刑者は一部の情報によれば、すでに医師免許は剥奪されているようですので、正確には「元」医師になります。
日本で医師の資格に対する行政処分を所管するのは医道分科会です。
処分対象の事例は『医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について』にて確認ができます。
医師法違反から医療過誤や診療報酬の不正請求など、対象項目はいくつかあるのですが、その中には「猥せつ行為」も含まれます。
猥せつ行為は、主に強制猥せつ、売春防止法違反、児童福祉法違反、青少年育成条例違反などが該当します。
処分の程度は基本的には司法処分の量刑などを参考に決定されますが、「特に診療の機会に医師としての立場を利用した猥せつ行為などは、国民の信頼を裏切る悪質な行為であり、重い処分とする」とあります。
セクハラが刑事事件に発展する可能性についてピンとこない方は、こちらのサイト(弁護士事務所のサイトに移動します)をご覧ください。
医道分科会での処分理由では、わいせつ系の処分の登場頻度は多いです。
2017年9月、医業停止3年(準強制わいせつ)、医業停止5月(公然わいせつ)、医業停止4月(児童売春)や、同じく3月に行われた審議会では、医業停止3年(強制わいせつ)、戒告(わいせつ電磁的記録記録媒体陳列)がありました。
セクハラとは関係ない事例がほとんどですが、もしセクハラを行ない事件に発展した場合は、上記のような処分を受ける可能性もありえます。
ちなみに、戒告であったとしてもネットで検索すると名前は出てきてしまいます。
医師紹介会社で働いていると、行政処分を受けた先生からの問い合わせもありますが、わいせつ系の処分を受けた先生は、かなりしんどいです。
医療機関は女性が多い職場です。
行政処分後の先生は、ただでさえ検討してくれる施設が少ないのに、その中でもさらに嫌煙されます。
一度、事件になってしまうと、先生の名前はずっとネットに残ります。ネットはなかなか消せません。
セクハラは被害者の生活と未来を壊します。
セクハラは先生が今まで築き上げてきたものと未来を壊します。
どうぞ十分にご注意ください。
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