4割の病院が導入検討「勤務間インターバル」について




7/9の日経新聞で紹介されていた勤務間インターバル
ひょっとしたら、先生の職場でも導入されるかもしれません。

勤務時間インターバルをご存知なかった方むけに、今回は簡単にご説明します。
(新聞記事は読むのが面倒でしたら色付きの箇所だけご覧ください)

勤務間インターバル、4割の病院が導入検討 厚労省まとめ

厚生労働省がまとめた医師の長時間労働の調査によると、退社から出社まで一定時間を空ける勤務間インターバル制度について約4割の病院が導入を予定、または検討していることがわかった。連続勤務を制限する取り組みも進んでいる。厚労省は今年度内に医師の長時間労働の是正策を固める予定で、こうした状況も踏まえて検討を急ぐ。
9日に開いた医師の働き方改革を議論する有識者検討会に報告した。医師の長時間労働は深刻で、1週間の労働時間が60時間を超える人の割合は4割を超え、職種別で最多。厚労省は2月に緊急対策をまとめて医療団体に通知。それらの実施状況についての各団体の中間報告を取りまとめた。
報告によると、勤務間インターバルの導入を検討、または実施を予定しているとした病院の割合は38%と全体の4割近くに上った。一般企業を対象にした厚労省の調査では導入を予定、もしくは検討しているとした企業は約5%にとどまっている。連続勤務時間の制限を検討、予定している病院も41%に上った。
 検討会は今年度末までに、医師の時間外労働の上限規制を含めた長時間労働の是正策をとりまとめる予定だ。医師には正当な理由なく患者の診療を拒めない「応召義務」がある。働き方改革と医療の質の維持の観点から、義務のあり方をどう見直すかも焦点になる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3277298009072018EE8000/

勤務間インターバルってなに?

勤務間インターバルとは、勤務終了後、一定時間以上の「休息期間」を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保するものです。
特徴として、労働者が日々働くにあたり、必ず一定の休息時間が確保できるという点があります。

〈導入イメージ〉

図のように始業時刻を繰り下げるだけではなく、ある時刻以降の残業の禁止や、次の始業時刻以前の勤務を認めないことにより「休息時間」を確保する方法も考えられます。
(以上厚労省サイトより抜粋)

簡単に申し上げると、
退勤から始業まで労働禁止の時間帯を定め、労働者の休息時間を確保しよう
という内容です。

この取り組みは国が推進しており、導入に掛かる取り組みへの助成金も設定されています。

助成金の対象となる施設は?

助成金名は時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)です。
長い名前ですね~。申請者以外はスルーしてOKかと思います。
そして、助成内容にご興味のない方は、途中の項目はスルーで「さいごに」だけご覧ください!笑

何が助成されるかと申しますと、長時間労働の抑制に向け勤務間インターバルの導入に取り組むために掛かった費用の一部が助成されます。

「終業から次の始業までの休息時間を確保することを定めているもの」が助成の対象となります。
「○時以降の残業禁止。かつ○時以前の始業禁止」でもOKです。
ですが、「○時以降の残業禁止。○時以前の始業禁止とする」などの定めのみの場合は対象外です。

また、どの施設でも助成がおりるわけではありません。
助成対象となるのは、次の(1)~(3)の条件を全て満たす施設です。

(1) 労働者災害補償保険の適用事業主であること

(2) 次のいずれかに該当する事業主であること

(3) 次のアからウのいずれかに該当する事業場を有する事業主であること
ア.勤務間インターバルを導入していない事業場
イ.既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場
ウ.既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場

助成金の内容は?

助成金の支給対象となる取り組みは次の内容です。厚労省ではいずれか1つ以上実施するよう呼びかけています。

1 労務管理担当者に対する研修
2 労働者に対する研修、周知・啓発
3 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
4 就業規則・労使協定等の作成・変更
5 人材確保に向けた取組
6 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7 労務管理用機器の導入・更新
8 デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9 テレワーク用通信機器の導入・更新
10 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

なお、原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは助成金の対象外です。

また、実施する取り組みについては「成果目標」の達成が求められています。
具体的には下記の内容となります。

・新規導入の施設について
事業場内の労働者の半数以上を対象に、休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルに関する規定を就業規則等に定めること。

・適用範囲の拡大の施設
所属する労働者の半数を超える労働者を対象に勤務間インターバルの対象とすることを就業規則等に規定すること。

・時間延長の施設
事業場の半数を超える労働者を対象に、休息時間数を2時間以上延長し休息時間を9時間以上とすることを就業規則に規定すること。

そして、その取組の実施にかかった経費の一部が、成果目標の達成状況に応じて支給されます。
助成金は、対象経費の合計額に補助率3/4(※)を乗じた額です。
(ただし次の表の上限額を超える場合は、上限額となります)。

※ 労働者数が30名以下かつ、支給対象の取組で6から10を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5となります。

(以上厚労省サイトより抜粋)

なお、勤務間インターバル制度の導入事例集は下記からご覧いただけます。
病院(聖隷三方原病院/看護部)の事例もありましたよっ。
勤務間インターバル制度導入事例集/厚労省

さいごに

記事内で勤務間インターバル制度を導入予定の施設の割合が、病院と一般企業で大きく異なるのが不思議でしたので、ちょっと調べてみました。

平成29 年「就労条件総合調査」によると、実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が11 時間以上空いている労働者が「ほとんど全員」 又は「全員」である企業割合は71.6% という結果です。

一部のブラック企業を除き、すでに休息時間が11時間以上の場合が多いので、勤務間インターバルの導入予定の企業が少ないのだなと思いました。
そして、いかに先生方がハードなご勤務をされているかということでもありますね。

今後も医師の働き方がどんどん変わっていきそうです。

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