みどころ満載!「医療機関の経営改善例」




本日、厚労省から『平成 29 年度 医療施設経営安定化推進事業 ― 医療施設の経営改善に関する調査研究』の報告書が掲載されていました。

タイトルだけ見ると、
長くて読む気がなくなるー・・・

かもしれませんが!!

各医療機関の問題、そして対応策が細かく紹介されていておもしろいですよ~
普段はなかなか見れない、医業収益や経営利益のデータなんかも載ってます。

フランクに言うと色々な事情で経営が悪化した医療機関がどのように立ち直ったのかってことが詳細に書かれた資料の平成29年度版です。
(ただし、改善を実施したのが平成29年度ということではなく、報告書作成が29年度ということなのでご注意ください)

特に、事務長の方や医師紹介会社の常勤担当は見応えがあると思いますし、仕事でつかえる知識もあるかと思います。

関東地方の病院もいくつか掲載されていて、本日はその中より「中央林間病院」を取り上げました。
報告書の内容をかいつまんだ記事になりますので、詳細は厚労省の報告書よりご覧ください。
(冒頭の報告書タイトルよりリンク先へとべます)

中央林間病院の事例

中央林間病院の事例は「地域経済活性化支援機構の支援を契機として救急医療体制の見直し等により経営改善し、社会医療法人の認定を受けるに至った事例」です。

二次救急対応等の強みが発揮されず経営難に陥りましたが、REVIC(地域経済活性化支援機構)の支援を契機に経営改善ができ、社会医療法人の認定を受けるに至りました。

経営の問題点

同院はもともと県から救急医療精励表彰を受賞するなど、救急に強みを持った病院でしたが、医療制度に沿った病院運営、医療連携を臨機応変に行えない問題がありました。

また、経営面の問題として「コスト意識が低く、委託費は事業者の言い値であった」点や「大きな経営危機があったわけではなく収益を上げる体制構築や意識改革が行われない“じり貧”の状況だった」、「職員の危機意識の希薄さ」などがあがっていました。

医療面では「院内の連携不足による救急受入の取りこぼし」や、「病院としての連携を重視しておらず、他院からの転院相談を断ること」、「慢性透析の患者入院を近隣の療養病床へ紹介し減らすも、その分の空床は埋められなかった点」などです。

また、創業家と病院(法人)の関係性を整理する必要もありました。

平成 21 年~ 23 年にかけて、入院患者の退院促進等による病床稼働率の減少を主因とした減収が続き、平成 23 年に実施した病床数削減も追い打ちをかけ経営状況が悪化する一方でした。

問題解決にむけて

同院は平成 24 年よりREVICから支援をうけることになりました。法人格も変更。厚生労働省の政策意向も踏まえて持分は放棄し「持分なし医療法人」へ移行しました。

REVICの支援が入ったことによって社員総会・理事会における親族割合が低下し、経営上も経費の負担が減少するなどの効果があったそうです。

一方で、先代理事長から続く救急医療への取り組みなどの医療面の一貫性は維持され、より強化されました。

そして、ここがポイント。
それは改善に向け「地域におけるポジショニング」が議論されたことです。

このときに打ち出した方針は2つ。「急性期医療への取り組み」「小回りの利く医療体制」です。

「急性期医療への取り組み」は、院内の状況と外部環境を考え異論なくきまりました。

「小回りの利く医療体制」は、もともとは初代より理事長が消化器外科医で、その影響で消化器系専門の医師が多く在籍し、内視鏡検査と手術を診療の柱に据えていたような状況です。
葛藤もあったかと推測しますが、理事長は長い目を見て高齢化により消化器疾患のみの患者は減少すると見込み、全人的に診療できる「小回りの利く医療体制が望ましい」と結論づけました。

具体的な取り組み

まず、救急の受け入れ体制の強化を測るべく、救急受入時のメモを作成し運用をスタート。そのメモを確認し断りの原因などを分析し会議で報告するというサイクルを開始しました。

会議で原因を分析する中、常勤医師と非常勤医師の救急受入率の違いがデータとして明確になり、従来は非常勤医師で対応していた土日の日当直を常勤医も交代で月1回の土曜当直に入ることにしました。(インセンティブ制度も設ける)

看護師の負担軽減のため、救急救命士も採用。看護業務の補助を担当させました。

検査対応不可も解消すべく、検査部門のオンコール対応を廃止し宿直制に改めました。

これらの取り組みの結果、救急車の受入件数は平成24年(支援前)の 1,092 台から平成 28 年には約2,000 台にまでなりました。

また、組織改編も行い、診療部と各コメディカル部門は分離。地域医療連携室は事務部門から独立しました。

地域医療連携室は看護部との連携を深めるべく、副看護部長が地域医療連携室長を兼務し、病床コントロールと地域連携を一体的に行う体制も整いました。

そのほかにも、細かい取り組みなど報告書ではいろいろ紹介されています。

これからの時代にむけて

中央林間病院は平成30年4月にDPC病院に移行しました。病床は5床削減し、一般50床、地域包括ケア病床 54床の体制です。

今後の展望として、現状では院内かららの入院が多い地域包括ケア病床への直接入院を増やしていきたいと述べられていました。

多くの病院で地域包括ケアの活用はポイントになってくるかと思います。

今後、医療機関は必ず明確な役割が必要ですし、すでに役割を明確にしている病院が多いはずです。
診療所の延長線上のような病院は厳しいと思いますし、方向性がない病院は生き残れない時代になっています。
厳しい時代ですし、そんな世の中は嫌だと感じるかもしれませんが、それが今の時代です。
従業員、患者さん、そしてその病院のファンの方のためにも、明確な舵取りをお願いしたいなと思います。

 

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