医師紹介会社を利用すると、医療機関は紹介手数料を支払う必要があります。
紹介手数料について詳しくはこちら
ひょっとしたら、先生の中には「医師紹介会社を利用しなければ給与が高くなるんじゃないか」とお思いの方もいるかもしれません。
ですが、そう簡単には給与UPにはなりません。
それはなぜか・・・
その理由について本日はご説明します。
そもそも医師は「紹介」であり「派遣」ではない
よく理解されている先生には申し訳ないのですが本筋に入る前に根本的なことを押さえておきます。
民間の人材ビジネスは派遣業と紹介業に分かれます。
「医局派遣」という言葉はあるものの、医師は基本的には「派遣」がNGな職種なので、医療機関への入職については「紹介」となります。
ざっくり申し上げると、
派遣の場合は雇用元は「派遣会社」になるので、給与は「派遣会社」から支払われます。
「派遣会社」は派遣先から労働に対する対価をもらい、その一部を自社へ、残りを給与として派遣社員へ渡します。雇用条件も「派遣会社」と締結します。
一方、紹介の場合は、雇用元は紹介先(つまり医療機関)になるので、給与の支払いも雇用契約も紹介先と行います。
手数料は1回だけ、給与はずっと
非常勤の場合だと、支払い方法が紹介会社によっていくつかあるので、この項目は該当しないと思いますが、常勤の場合は、ほとんどのケースで手数料が発生するのは、入職時の1回だけです。
手数料は大きな金額にはなりますが、その後の支払いは基本的にはありません。
給与については、先生が働き続ける限り発生します。
設定した給与にもよるとは思いますが、トータルで見ると紹介料より高くなる可能性もありえます。
「じゃあ入職準備金として入職時にだけお金を渡せばいいじゃないか!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それについては後述の「他の医師との軋轢」をご覧ください。
医師の給与は院内規定で決まっている
特に複数の施設を運営する医療機関ですと、医師の給与は法人規定で決まっているケースが多いです。
法人内で医師の給与が決まっている場合だと、規定以上の給与はなかなか設定できません。
ちなみに、そういう医療機関だと「医師紹介会社が給与交渉を行うことも出来ないんじゃない?」と思われるかもしれませんが、そこは、やっぱり交渉のプロです。
法人規定が存在する医療機関でも、給与の幅は多少あるので、無茶のない範囲で先方と上手く調整します。
他の医師との軋轢
これが、一番大きい部分だと私は感じます。
同じ医療機関で同じ仕事をしていて経験年数もあまり変わらない。
それなのに、新しく入職した先生だけが給与が高かったり入職時の手当があった場合、他の先生はどう思うでしょうか?
「バレなきゃいいじゃん!」と思うかもしれませんが、医療機関側はけっこう慎重です。
それは、今いる医師を大切にしているというのもありますが、他の医師へこの話が広まった場合、現場の雰囲気が悪くなり、医療機関への信頼が無くなり、最悪のケースだと退職に繋がるということを知っているからです。
ですので、現場の医師へ説明できないような安易な給与UPはなかなか踏み切れません。
なお、医師の在籍が少ない小規模な施設だと、この項目は関係ないので、給与UPできるかもしれませんね。
さいごに
紹介会社を利用するも利用しないも先生次第です。
情報探しや交渉が苦にならない先生は利用しなくても良い結果が得られるかもしれません。
一方で、なかなかご自身で情報を探す時間がなかったり、交渉が苦手な先生だと、紹介会社を利用したほうが、良い結果は得られるかもしれません。
私は、先生が納得できる結果を得られれば、どちらでも良いと思っています。
ただし、1つだけご注意いただきたい点は、「中抜きをする医療機関」です。
中抜きについて詳しくはこちらの記事
紹介会社との約束を簡単に反故するような医療機関は、かなりモラルが低いです。
中抜きは裁判にも発展する可能性がある危険な行為です。
中抜きをするような医療機関が先生を大切にしてくれるとは私は思えません。あまり関わらないようお気をつけください。
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