当たり前ですが、お給与は安いよりは高い方がいいですよね。
貴重な時間と今まで蓄積されたスキルを活かし働くので高額給与を希望されて当然です。
先生はご自身の給与相場をご存知でしょうか?
定期非常勤の場合は診療科や地域ごとに、常勤の場合はそれにプラスして、ご経験年数や専門医有無によって、おおよその相場が存在します。
相場より給与が高いということは、何かしらの背景があるはずです。
今回は、
○相場より高い給与の背景
○実録!高額給与の落とし穴
○落とし穴に落ちないためにできること
をお届けします。
相場より高い給与の背景
相場より給与を高く設定している医療機関の考えられる理由を列挙してみます。
◇立地が悪く医師が集まりにくい
◇新規立ち上げや役職入職など、ある分野に優れた医師の採用が必要
◇条件に合致する医師が少ない(医師の少ない診療科、性別や経歴に細かい条件がある)
◇法人規定の医師給与が高い
◇医療機関側の採用意欲が高い
◇医師採用の裁量を握る人が給与相場を分かっていない
◆早急な採用が必要なため(医師の急な退職)
◆業務量が多い
◆医師の退職率が高い
◆1人に負担が集中する環境
お気付きかもしれませんが、◇の項目は比較的良い理由です。
そして、◆の項目は表立ってはなかなか分かりにくい理由です。
医師紹介のコンサルタントは担当した先生の数だけ退職理由も伺います。その中で、「入職前のイメージと違った」と転職・バイト探しを考えられる先生がおっしゃる退職理由の多くは◆の項目に当てはまるものです。
つまり、給与が高いからとすぐに話を進めず、なぜ給与が相場より高いのかを見極めた上で入職先を決めることが大切になってきます。
ちなみに!
給与の相場は、複数の紹介会社が求人を掲載している相乗りタイプの求人サイト(エムスリーや日経、メドピア)を3ページ位ご覧になれば何となく分かりますよ。
常勤の場合は、求人票の給与幅が広いので判断つきにくいかもしれませんが、非常勤だと結構はっきりしています。相乗りタイプの求人サイトについて詳しくはこちら
実録!高額給与の落とし穴
これは私が勤務時代に聞いたことのある実例です。
《常勤》
A先生が内科系のクリニックへ入職しました。
面接の際に「何人も先生が面接に来ましたがA先生に決めたいです!」と煽てるような言葉をたくさん言われ、高額な給与も魅力でした(相場の1.2~1.3倍位です)。
少し悩みましたが「早く決めてもらわないと他にも面接に来てた先生がいるので」と医療機関側に急かされA先生は入職を決めました。
ところが、そこは癖の強すぎる理事長が運営する完全ワンマン施設で、診療方針に関する裁量は全くありません。再診の患者さんの処方は全て今までと同じにするようにと言われたそうです。
また、業務量が多く法人としての運営もぐちゃぐちゃ、コメディカルはどんどん辞めていくという環境です。ちなみに、入職前に上記のような状況は全く説明がありませんでした。
いくら給与が高くても、このような環境では働けないと入職後 数ヶ月で退職を決意されました。
《定期非常勤》
B先生は総合病院の外来バイトとして入職しました。こちらも給与は相場の1.2~1.3倍位です。
外来は並診制で、ご家庭の事情でたまに休みが必要なB先生にとってその点も好都合でした。
ですが、実際に勤務してみると医師は複数いても患者数が多すぎて全く間に合っておらず、昼食も満足に取れず残業は当たり前という環境です。
病院側へ掛け合っても改善は見られません(病院も人が足りていないため外来に人を回す余裕はなく、コスト面から医師を追加で採用することもできない状況だったと推測されます)
元々ご家庭と両立できる勤務を考えていたB先生は、体力面での厳しさも痛感し退職されました。
これは、数ある実例のごくごく一部です。
いくら給与が高くても予期せぬ職場環境ではストレスが貯まるいっぽうですし早期退職にも繋がります。
(「業務量が多くても関係ない」や「勤務の第一条件は給与」とお考えの場合は別です)
そして、高額給与の要因を事前に分かっていて入職するのとしないのでは心構えも変わってきます。
次の項目では、落とし穴に落ちないための行動をご紹介します。
落とし穴に落ちないためにできること
ご自身が応募する医療機関の給与が相場より高いと感じた場合は、直球ですがコンサルタントへ聞いてみるのが一番です。
直接、求人元へは給与のことやマイナスなことは聞きにくいですよね。
求人元へ聞きにく事を知りたい時に役立つよう、コンサルタントは存在しています。
きちんと業務に当たっているコンサルタントであれば、理由は把握しています。
(そもそも、ダメな背景のある医療機関へ医師を紹介するコンサルタントはいないはずですが)
逆に理由を把握していない、もしくは説明が不明瞭なコンサルタントは、お付き合いを検討された方がいいです。
もし気がかりな理由があったとしても、事前に詳細を把握していれば、入職後のギャップは少ないですし、入職しないという判断もできます。
例えば「早急な採用が必要」が理由で、その退職する医師の事情が個人的なものであれば、先生には当てはまらない懸念事項かもしれませんし、「業務量が多い」であればその多い件数を予め分かっていれば許容範囲かどうか判断できます。
また、コンサルタントへ依頼すれば、医療機関が拒否しない限り、対応患者数や症例を把握する資料、時間外の平均値、退職率などのデータは調べてもらえます。
理由を聞いても納得できない場合はとことんコンサルタントを頼ってください。
なお、何も言わなくてもコンサルタントが全て説明する・用意するはずだとお考えにならず、ご自身で気になったことは積極的に尋ねて言くことも大切です。
コンサルタントも先生と不安事項・懸念事項が共有できていない場合、フォローしきないことがあります。ご不安な事などは、大小関係なくコンサルタントへ伝えた方が良い結果へ繋がります。
一番リスクがあることは高額給与の要因を知らずに入職してしまうことです。
入職を決める前に、しっかりご確認ください。
その他、好条件にも関わらず、ずっと求人が掲載されている医療機関、同じ条件で短いスパンで求人掲載・非掲載を繰り返す求人も要注意です。
○ 相場より給与が高い場合は要チェック
○ なぜ給与が高いか理由を確認する
○ 確認した理由が許容範囲かどうか検討する
今回は高額給与の落とし穴について述べましたが、 ご要望があれば、給与交渉についても改めてご紹介しますね。
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