当サイトの内容とは直接関係ありませんが、もし医師紹介会社の方や敗血症をご存知ない方の目に留まればと書かせていただきます。
そして、この記事はいつもよりちょとふざけてます。予めご了承ください。
なぜ敗血症の市民講座へ参加したのか
前職の関係で学会などは行ったことがありましたが、学会主催の市民講座はお恥ずかしながら初めてでした。
今回の参加理由は大好きなブロガー「ギラギラ研修医(現在は救急医)」の薬師寺先生が講演されるからです。
薬師寺先生のブログを初めて拝見したのは恐らく初期研修について調べていた時です。今から5年位前になります。今では日経メディカルで連載を持たれていたり、本も出されたり多方面でご活躍中の先生です。
昨年も幕張メッセのイベントへご出席されたようでしたが、残念ながら行けなかったため、今回こそは行かねば!と鼻息荒く行ってきました。
いざ敗血症の市民講座へ
敗血症の市民講座は幕張メッセの国際会議場で開催されました。
なるべく薬師寺先生のお姿を近くで見たいと1時間程前に会場へ向かいましたが開始会場はオープン前でした・・・
でもいいんです!そのおかげで前の方の席をゲットできました。
※会場内は撮影禁止です
敗血症について説明できますか?
集中治療医療学会のWHO認定記念ということで市民講座が実施されました。
会場ではアナライザーシステムが用意されており、司会者の回答に出席者が番号で回答することにより、一方通行の講演会にならないようにとの工夫がなされています。
アナライザーシステム(画像は株式会社西日本シネ用品さんのものをお借りしています)
まずは、司会者の井上先生、剣持ナースより出席者の方へ簡単な質問がありました。
そこで敗血症の死亡者ランキング?致死率ランキング?すみません。記憶が曖昧なのですが、敗血症と日本人の死亡についての質問がありました。
私は、今まで死因順位を調べた際などに敗血症は出てきた事がなかったので、選択肢の中で一番下位にあたる6位を選択しましたが違いました。
なんと2位だと最後に回答がありました。
医師紹介会社の社員の方であれば、知識として日本人の死因別疾患名は抑えていると思いますが、
よく見るのは下記のような順位だと思います。
参照:厚生労働省 平成28年 人口動態統計月報年計(概数)の概況
敗血症は日本国内では年間約10万人(推定)もの方が亡くなっているそうです。(敗血症.comより)
推定ということで、入口は敗血症でも出口は違う病気だからこういった死因順位には登場しないのかな~?と疑問に思いました。
そして、そんなに死亡数多いのになぜ認知度低いんだー!と驚きです。
講座の中では、敗血症は感染によって生体反応が起こり臓器障害へ発展する病気との説明もありました。
敗血症が原因で緊急透析が必要になったり、人工呼吸器が必要な重篤な状態にもなるそうです。
市民公開講座はどんな内容?
市民講座は下記のプログラムで進行しました。
1,敗血症の元患者さんの体験談
2,敗血症の元患者さんとご家族の体験談
3,敗血症ってなに?予防と早期発見(薬師寺Dr)
4,敗血症を乗り越える~後遺症と社会復帰まで~(福家Dr)
1.2の敗血症の元患者さんのお話はついつい引き込まれました。
敗血症は誰でもなる病気ということを元患者さんの体験談で知りました。
最初にお話しいただいた方は、旅行先の海外のビーチでサンゴに足をちょと引っかけて絆創膏一枚程度の傷だったのに、そこへ蚊がたかり、帰国後はあっという間に植皮が必要なくらいまで足は重症化して、呼吸管理も必要な状態にまで至ったそうです。
入院期間も長く寝たきりのため、予後もリハビリが必要で入院中の精神状態も大変だったとお話しいただきました。
お二人目の元患者さんとその奥様のお話では、闘病中の日記を読んでいただきました。
ご家族の苦しみと悲鳴が目の前で起こっているような鮮烈な内容で、ついつい涙が出てきました。
敗血症という病気について全く想像できなかった私を、その病気への強い関心に一気に引き込んでくださいました。
そして、薬師寺先生のご講演。
ブログ通り、いやブログ以上にテンポもよく理解しやすい内容で、どうしたらこんなに上手く話せるのかと感銘を受けました。無駄な言葉がないので話が飲み込みやすいんです。いや、もうTV番組のMCも出来るんじゃないかっていうほどでした。
薬師寺先生からは、敗血症という病気についてサクサクっと病気の変遷も交え説明いただきました。
あと、病気の対応についてウルトラマンに例え説明していただきました(笑)
診療科でいうと救急では敗血症の重篤化を食いとめるべく処置を担い、集中治療では患者さんの全身管理を担うという説明もあり、イメージしやすかったです。
また、敗血症の予防については手洗いや傷の洗浄などの基本的な事や、ワクチンについてもお話しいただき、とても身近に感じました。
インフルエンザの予防でも手洗いや予防接種の事は出てきます。身近な病気と重篤な病気の予防方法が似ているという点も目から鱗です。一時予防の大切さを改めて認識できました。
敗血症の初期症状として高熱(38度以上)だけではなく低体温(36度以下)もあるという点も意外でした。
脳梗塞については早期治療の重要性(t-PA)は知られていますが、敗血症についても重要だということを学べました。
福家先生のご講演では予後のことについてお話いただきました。
敗血症は元々治療ができない病気だったそうです。
1942年にペニシリンが登場してからは救える命も増えてきたものの、後遺症が残る人も増えたと仰っていました。アメリカのデータでは、ADLが自立した患者さんでも予後は1/3は死亡し、1/3は後遺症が残り、本当に元気になる方は1/3というデータもあるそうです。
また、アメリカでは敗血症の治療について、医師だけではなくコメディカルや民間団体まで巻き込んでの議論もあるという趣旨の説明もありました。
今回の集中治療学会でもPICS(※)の講演は立ち見が出るほど人気だった、論文数についても(すみません、これは敗血症の論文なのか敗血症の予後の論文なのか失念です)うなぎのぼりに増えているとのお話もありました。
※ PICSとはICU在室中あるいはICU退室後、さらには退院後に生じる運動機能、認知機能、精神の障害である:日本版敗血症診療ガイドライン2016より
正直、敗血症は急性期治療のイメージが強く、それから先ということは全く頭になかったです。
ですが、福家先生のお話では早期のリハビリ開始の重要性やご家族へのサポートまで、アメリカの論文を交え、とても分かりやすく説明いただきました。
結論:また行きたいと思える市民講座でした
薬師寺先生目当てで市民講座へ伺って、会場には看護師さんや医師も多数ご参加されており、下心のある私が参加するのはご迷惑かとも恐縮しましたが行ってよかったです。
非医療者(つまりは一般市民)でも理解しやすく抵抗なく受け入れられる構成に、一方通行ではない講演(*)で敗血症について何となく分かった気になりました。小学校高学年以上なら理解できる考えぬかれた内容でした。
(*実は求人で専門学校からの講師依頼などもありますが、医師が一方的な授業を展開しないか先方から気にされます)
参加者のことを慮って作っていただいた市民講座で、沢山の方に聞いてほしい市民講座でした。
医師紹介会社でも、勉強会の際に日本人の死因について触れる際は、敗血症のこともちょっとやってくれたら嬉しいな~と思います。
敗血症について、詳しく&分かりやすく下記のサイトで紹介されています。
敗血症.com
今回の記事は記憶に自信がない部分もありますので、ぜひ正確な知識をこちらで蓄えてください。
さらに、市民講座に参加した結果・・・
薬師寺先生のご著書である『@ER×ICU めざせギラギラ救急医』をネットでポチっとしちゃいました。
医師の専門書かと勘違いしてましたが、私のような一般市民で少しでも興味があれば、楽しく読めそうな軽妙だけど濃い内容のようです。救急医はなかなか医師紹介業の中では多くはありませんが、非常勤で救急有りの求人は扱うので(薬師寺先生はER型です)知る機会が少ないからこそ、参考になるはずだと読むのが楽しみです。そして、もちろん次回のサイン目当てでもあります。
本の説明はこちらamazon
あと、啓発されすぎたのか指に切り傷ある状態で魚を捌くのが怖くなりました!
にほんブログ村 ランキングに参加中です。その1クリックがご本人が想像する以上に、とっっっても有難いです。